贅沢ミニマリスト

「彩透(さいとう)いろ」の小さな暮らし

ミニマリストの楽しみは体験を買うことだと思う

形が残るモノより、消えていくものの方が断然好きだ。お花とか食べ物とか、ろうそくとか。消えていったとしても五感で感じた体験は身体に刻まれているから。

先日夫と食べたチキンスパイスカレー。初めて入った店だった。この店なりのルールがあるらしく「辛いので残さないでください」「ラッシーは飲みたいタイミングで声をかけてください」など張り紙がある。

カウンターのみ10席程度の店だが、男性オーナーがひとりで切り盛りしている。忙しそうだ。私はチキンカレーを、夫はキノコカレーを注文した。

注文してから気づいたことがある。それは、カレーによって辛さが決まっていたのだ。小さな字で「キノコカレー★2」「チキンカレー★5(最大)」と書かれており、もっと小さな字で「一般の中辛程度で★2」書かれてあった。

まさか。知らぬ間に未知の辛さのカレーを頼んでしまっていたなんて。もちろん夫も気づいていない。

ああ、どうしよう。強面のオーナーはもうカレーを作り始めているし、「残さないでください」という張り紙はあるしで。

いよいよ来たカレーはスパイスカラーで食欲をそそってくれる。怖いような楽しみのような。

chicken_curry_spices

一口食べるとスパイスの香りが広がり、カレーはほんのり甘く濃厚で、チキンはあつあつで歯ごたえがあり、それらを包むライスは柔らかくて‥そして、後から後からわーーーーーーーっと汗が噴出した。もう背中はびしょびしょになった。

もう、美味しくて辛すぎて汗が出て水を飲んでわけがわからない。身体が忙しすぎる。
夫はただキノコカレーが食べたかったのであり、私はチキンカレーが食べたかっただけだ。だけど突然放り込まれた未知の体験との遭遇は、それはそれで楽しかった。

時々そのカレーの写真を見ながら夫と大笑いする。

9割食べきった自分のことを褒めてあげたい。いいよね、1割残したけれど。