アメリカ人ミニマリスト、デーブ・ブルーノの書いた「100個チャレンジ」THE 100 THING CHALLENGEを知っていますか?
私はこの本が大好きですし、デーブ・ブルーノにも好感が持てます。読んで勇気付けられる本でした。
いつか自分も100個チャレンジを実践したい!と思っているので、今日はこの本についてのレビューします。
こんな人にオススメ!
・マキシマリストからミニマリストへ変わる思考が知りたい人
・生活に「必要な100個のモノ」を参考にしたい人
・1年でミニマリスト思考へ変われるヒントを知りたい人・100個での生活を疑似体験してみたい人
いちミニマリストのドキュメンタリーとして読むと映画を見るような面白さがあります。
※荒療治であり、真似することは簡単ではなさそうです。実用書ではないです。
デーブ・ブルーノとは?
大学卒業後、友人と始めた会社経営にて成功をおさめた男性です。
しかし物欲と消費の囚われの身になっていた自分と決別したいと思いたったのです。
2007年7月に「1年間に100個のモノだけで暮らす」チャレンジについてブログに投稿し、決意を宣言します。
この試みが人々の共感と注目を集めるようになりました。その後は「TIME紙」に掲載されるほどの有名人に。
チャレンジはあらゆるメディアで取り上げられるようになり、現在は全米、そして世界中に広まっています。
彼にならって自分のチャレンジの経過や失敗談を投稿する人々も続出し、ユニークなライフスタイルとして影響を与えています。3人娘を育てる父親でもあります。
目的は「消費というエンドレスゲームからの脱却
「私は物の奴隷だった」と彼は言います。
大学卒業後に会社を設立しそれで生計を立てる事ができる男性であり、アメリカの豊かな中流家庭を築いている、という印象です。
溢れんばかりのモノに囲まれた様子は3ページにも及び、彼の家の混沌さを物語っていました。
寝室、クローゼット、机の上、キッチン、車2台が止められるガレージ内、通路にさえも溢れるモノたち。
読んでいるだけで圧迫感が押し寄せてきてクラクラしてきました。デーブ自身はアウトドア好きで多趣味です。
驚いたのは、ガレージ裏がロッククライミング用の壁に作りかえられていること!
私が妻なら絶対嫌で断固拒否すると思います。「絶対飽きるで」「おもろい思てんの今だけやで」とか言って。
デーブの奥さんはよく許したなーと思いました。人の家のことですが。笑
何にしても彼は幸せではありません。
3人の娘と妻の5人家族が生活するだけの大きな家、そこは幸せな場所ではなく、混乱と疲弊と苦悩が感じ取れました。
そして一つの事実に気づきます。それは「意義ある人生を送りたいという思いは、モノが大量にあるせいで発生する手間ひまに妨害されていた」。ということ。
彼はキリスト教関連の優れた本を扱う会社を設立し、それで成功を収めています。
キリスト教関連の本というのは敬遠されやすいそうですが、彼は「起業するなら、世の人々が人間的に成長する手助けが出来るものにしたい」という思いで起業したそうです。
人の人生に貢献したいという思いは素晴らしいですね。
しかし、「事業の成功」は彼に「成功したビジネスマンが持つべきモノ」をささやき始め、そこから悪循環が始まりました。
綿密な準備プランで「自分の心を叩き起こす」
意義ある人生を送るために、私物100個のみで暮らすチャレンジに取り組むことになりました。
期間は38歳の自分の誕生日から39歳になる誕生日までです。ここでデーブは成功させるためのプランを立て始めます。
この辺りが企業家ですね。行き当たりばったりでなく、綿密な準備に重きを置いています。
実際この本のうち、決意までが18ページ、準備に41ページ、実践に91ページ、実践を終えてが4ページで書かれています。
つまり準備について語るのに3割近くページを割いているのです。
いかに準備が大切かが分かります。
誕生日にスタートさせたのはとても良いと思いました。新しく生まれ変わるためのチャレンジスタート日として最良ですよね!
準備その1:自分なりのルールを作る
彼は達成可能な8つのルールを設定しました。
「下着はまとまりとして数える」「本棚を1つと数える」「新しいものは買っていい。しかしいつでもリストは100個以内に収める」
「私物を定義する」「ギフトをもらったら7日以内に処分方法を決定する。(つまりリストに加えるのか、手放すのか。)」「家の修繕道具はリストに入れない」など。
私が一番素晴らしいと思ったのは「これは自分だけの挑戦である」というルールです。
自分の挑戦を家族に強要する・・とか、勝手に家族のものを捨てる・・とか。
これ、よくやってしまう失敗例ですよね。「人生がときめく片付けの魔法」で有名なこんまりさんも、その著書の中で失敗として語られていますし、「私の家には何もない」のゆるりまいさんもその葛藤を描かれています。
またジョシュアベッカーさんも書いています。断捨離をする時のあるあるのようですね。
成功させるための手立てが抜かりなく熟考されています。さすが起業家!
準備その2:達成可能で現実味がある数字
そもそもなぜ「100個」なのか。何か根拠がありそうですが、ただ単に好きな数字をデーブは設定しています。
「10個チャレンジ」は不可能だろうし、「1000個チャレンジ」ではチャレンジとも呼べない。だから100個と設定しています。
彼の中で「頑張れば達成できる数字」を感覚的に選択しているのです。
持ち物96個にて実践スタート
十分な準備を経て始まった「100個チャレンジ」の初めの試練は急な講演会での依頼でした。
場所だがモンタナ州の教会からの依頼ということで、まずは衣類でのジレンマが勃発します。
モンタナ州はアメリカ合衆国の北西部。カナダから流れてくる冷気団の影響を受けて寒い地域はマイナスの世界です。
そこに出かけるための「服がない」というのが初めの試練でした。ブログで行動を記録しているからズルはできません。
デーブは妻に相談し、GAPのウールのセーターを買うことでなんとかしのぎます。出来事は地味なのですが、真剣に悩む姿に好感が持てます。
96個スタートにして置いてよかったですよね。100個スタートをしてしまっていたら、一つ手放さなくてはいけないし、そうなるともっと悩むことになります。
他人事ながらに面白いです。笑えます。
ついで、ブラックフライデーで買い物したことがトピックになります。
ブラックフライデー(Black Friday)アメリカ合衆国で、感謝祭(11月の第4木曜日)翌日の金曜日のこと。クリスマス・セールが始まり、小売店が大きく黒字になることからこう呼ばれています。(ウィキペディアより引用)
このブラックフライデーにデーブは妻とデートをし、ジャケットを購入しています。
ちゃんとルールに則って100個以内で生活していますし、一枚ジャケットを購入するのは何も悪くありません。妻とのデートも然りです。
しかしデーブの文面からは、なぜか「罪悪感」がにじみ出ています。
「消費主義の代表格とも言える年末商戦の初日に買い物してしまった。正しい行為だったのだろうか」と。
デーブの面白さは「本の詰まった本棚を1つの持ち物」と数えてしまうようなアバウトさと、いちいち真剣に悩む真面目さのコントラスト。
そこ悩むんかい、と突っ込みたくなります。
だけど消費することに重きを置いてきたデーブが、こんなにもひとつ一つの買い物に悩むこと自体が大きな変化ですね。
このように彼は消費主義のパターンから少しずつ抜け出して行きます。
その後もスターバックスのマグカップをもらっては悩み、クリスマスにスボンをもらっては悩み・・というのが続いて行きます。
地味に、そして真剣に悩んで乗り越えて行きます。
実践を終えてデーブが得たもの
1年のチャレンジを終える頃にはデーブは大きく変わっていました。
頻繁に洗って裾が5cmほど短くなってしまったジーパンで人前に出ても、安らかな気持ちでいられるデーブの姿がありました。
変わり者という意味では無く、そんなものは幸せを感じることの邪魔には1mmもならないと気づいたからです。
つまり自分はモノの奴隷(モノに左右される)ではないと気づけたとあります。
片付いたガレージには妻のミニバンを止めることもできるようになりました。
100個チャレンジは荒療治だったけれど、大きなインパクトを与えてくれるものでした。
このアメリカの消費主義に逆らうようなプロジェクトを経て、デーブが得たもの、それはこの一言に凝縮されています。
「人生を楽しむための余裕が、物理的にも精神的にも生まれた」
まとめ
デーブは私と同世代なので、ついつい友達感覚で読んでしまいました。
こんな夫やったら面白いな、大変やな、憎めないな、という主婦的目線が満載のレビューとなってしまいました。
ものを減らしたことで、得たものが「人生を楽しむための余裕」ということは幸せにひとつ近づけたということ。
アメリカならではの大量生産大量消費の文化の中での実践は大変だったかと思います。
成功されて何よりです。
物語として、とっても面白いので是非読んでみてください。